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中村ユキ 『わが家の母はビョーキです』

 100人に1人が発症している、実は身近でありながら、あまり聞かない病気「統合失調症」(以前は、「精神分裂病」と呼ばれており、「こころのガン」とも言われたていた)。

 この病気について真正面から描いたコミックエッセイ。おそらく著者が統合失調症の家族であり、主たるテーマとして統合失調症を描いた作品は、このマンガが最初であるように思う(最近では『ブラックジャックによろしく』の「精神科編」に統合失調症を描いたものあるが当事者・家族からの視点からではない)。

 ガン患者数と同じ発症率でありながら、統合失調症があまり身近でないのは、「はずかしい」「世間体が悪い」「みっともない」など家族も本人も、差別・偏見・誤解から言うことができないからだろう。また見た目では分かりづらく、働いていたとしても病気のことをカミングアウトできない人が多いからだろう。
 そんな誤解や無知のことが多い統合失調症のことを描いたマンガである。著者が4歳の時に発病したお母さんを描いた作品だ。マンガではさらりと書いてしまっていることでも、かなり壮絶な体験をしてきた著者。お母さんも著者も死の淵までいくような凄まじい体験が描かれている。だが、コミックエッセイということから重い雰囲気ではなく読める本だ。当事者の苦悩はもとより、その家族の苦悩と、そして現在の状況が描かれている。著者の4歳のときから現在にいたる31年間の想いの詰まった作品である。

 統合失調症患者やその家族からは「描き方や症状、病気の理解に誤解を与えるかもしれない」という声も聞こえてきそうだが、あくまでも「『トーシツ』(統合失調症)には人それぞれのさまざまな症状と経過があり、この本の内容は私が経験したその一例です」(p.11)という注記があるし、また「100人100色の病気なんだネ」(p.135)というセリフもある。

 この本は、精神科に詳しいものでないと聞きなれない用語に解説もあり、当事者や家族にとってどういう環境が好ましいか、また自立支援医療、障害年金や障害者手帳など社会資源・福祉に関することも触れられている実践的な本でもある。当事者・家族にとっても興味深いだけではなく、物語としても興味深いものがあるので、この病気とあまり関わりのない人にも読んでもらいたい。コミックエッセイとしてもすぐれたものであり、一読にあたいする本であり、統合失調症という病気理解のための一助となる本であると思う。







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mamu895

Author:mamu895
トーシツの持病(障害)を持っていることもあり、非正規で働くアラフォー男です。なかなか本は読めないし、書評も思うように進みませんが、本は好きなので読んで良かったと思う本・感動した本を紹介していけたらなと思います。今後読みたい本なども書いていけたらと思います。最近になり改めて公共図書館の魅力を感じています。

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