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倉本智明 『 だれか、ふつうを教えてくれ!』

「ふつう」とは何かを問い、よりよい「ふつう」をつくりあげていくために

 本書は、理論社の「よりみちパン!セ」シリーズの一冊であり、中学生向けに書かれている。障害学や知識社会学、相互理解、人と付き合うということとは何かということを分かりやすく、平易な言葉で綴っている点が優れている。
 著者は、自らの経験や体験をもとに、具体論から一般論を導きだし、「ふつう」「障害」とは何かと考えるところから、様々な想像力で自分の障害とその付き合い方について語る。
 例えば、著者は二十歳過ぎまで弱視で、だんだんと全盲になっていくという経験から、軽度障害者/重度障害者という枠組みすら本質的でないことを主張する。「重度」障害者の方が生きにくいのではないかという一般的な見方から、むしろ「軽度」障害者の方が、社会の中で生きにくいこともあるのではないかということも自らの体験を通して明らかにしている。
 著者の論点で重要なところは、人が「障害」を「わかる」あるいは「理解する」ということにかなり疑問を持つところだ。「わからないこと」を「わからない」と自覚していることが重要なのではないか。相手のこと、他人のことは、本人に聞いてみなければ「わからない」。また本人ですら「わからない」ことがあると述べる。

 「障害者であろうが、健常者であろうが、人間を簡単に理解することなんてことは、もともとできっこないことなんですね」(116)。
 「むしろ大切なのは、『自分は相手のことをわかっていないんだ』ということをちゃんと知っておくことではないでしょうか」(117)と述べている。

 特に、最後の章で述べられている、人と人との付き合い方、相互理解の仕方には学ぶところが多い。少数の人と人との付き合い方から多数の人の集まりである「社会」という集団の中で、よりフェアなルール(=ふつう)づくりの困難さが述べられている。だが、その解決策は具体的には述べられていない。それは、新書という啓蒙的な本書を土台として、これからの障害学という学問や、政治/経済/社会の合意という分野の課題であり、私たちがこれから考えていくことである。本書のタイトルである「だれか、ふつう(よりフェアなルール)を教えてくれ!」との著者の呼びかけでもある。








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(2007/11/11 BK1)
 
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mamu895

Author:mamu895
トーシツの持病(障害)を持っていることもあり、非正規で働くアラフォー男です。なかなか本は読めないし、書評も思うように進みませんが、本は好きなので読んで良かったと思う本・感動した本を紹介していけたらなと思います。今後読みたい本なども書いていけたらと思います。最近になり改めて公共図書館の魅力を感じています。

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