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ハウス加賀谷著  松本 キック著 『統合失調症がやってきた』

松本ハウスという希望

本書は漫才コンビである「松本ハウス」のハウス加賀谷の幼少期とキック松本との漫才コンビとしての活動を描きながらも、統合失調症という病気に蝕まれ、いったんはお笑い界から消えた松本ハウスが復活するまでを綴ったものである。

 ハウス加賀谷は「良い子」だった。母の言う通り・思う通りの良い子を演じてしまう子だった。また「良い学校を出て、良い会社に入ること」を第一義とする母の思う通りに勉強し、予備校の名門である四谷大塚の正会員にもなるくらい優秀であった。
 
 そんな少年時代の加賀谷だったが、中学の頃からか自分が臭いと思い込んでしまう症状に悩まされる。自分が臭いと思うだけでなく、周りの人が「臭くて迷惑している」と思い込むようになり、「かがや、臭い」という「幻聴」まで聞くようになってしまう。そして、統合失調症と診断される。

 この本では松本キックも執筆しているのだが、キック曰く加賀谷とコンビを組むときにも加賀谷はかなり変わっていたようだ。統合失調症に特有の要領の悪さや落着きのなさ、またさまざまな失敗が目についたという。そんな加賀谷だったが、松本と漫才コンビを組むことになる。

 売れるようになっても病気と背中合わせの加賀谷だった。統合失調症をオープンにしてネタにもしていたためか、よくも悪くも注目を集めていた。だんだん自分で薬をコントロールするようになり不規則な生活を送っていたせいか、統合失調症を再発してしまう。そして、お笑いの世界から姿を消すことになる。

 そんな加賀谷が自宅療養の時の気持ちを綴った文章に、僕は心を打たれた。
「気持ちがどんよりしてしまうのは、陰性症状なのか、薬の副作用なのか分からなかった。今でも正確にはわからない気がする。/でも、ぼくはぼくでしかない。/どんなぼくだろうがぼくでしかない。/強い薬を飲んでぼんやりしていても、それがその時に生きているのはぼくだ。/というように、自分を受け入れるようにしていた」(p.166-7)。

 ありのままの自分を受け入れるのは、生易しいことではない。この思いにあった加賀谷の気持ちは同じ病気を持つ今の僕にも突き刺さる。ありのままの自分を受け入れるということ、このことはとても難しいことであるし大切なことだと思う。いままで同じ病気を持ちながら生きてきて、生きていくうえでのヒントをもらった気がした。この言葉は、どん境遇でも言い訳をしない、と言っているようにも僕には思われた。

 再発から10年経ち、新薬のおかげもあり劇的に調子をとりもどしたハウス加賀谷。コンビとしても復活し舞台に立つ。しかし、忘れてはならないことは、「治ってはいない」ということだ。統合失調症に「完治」はない。「寛解(かんかい)」という状態があるのみだ。僕らはそのことを理解して本書を読まねばならない。








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mamu895

Author:mamu895
トーシツの持病(障害)を持っていることもあり、非正規で働くアラフォー男です。なかなか本は読めないし、書評も思うように進みませんが、本は好きなので読んで良かったと思う本・感動した本を紹介していけたらなと思います。今後読みたい本なども書いていけたらと思います。最近になり改めて公共図書館の魅力を感じています。

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