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福智 寿彦 『家族が統合失調症と診断されたら読む本』

とうとう幻冬舎から統合失調症の本が出た

 最新の統合失調症とそれに関連する動向が書かれたのが本書だ。
著者の見るところによると、最近の統合失調症は「軽症化」しているという。これは他の医師も指摘するところであり、良い薬が出てきたことで陽性症状(幻覚・幻聴・妄想など)が治まり、軽くなっているとの著者の認識だ。

 陽性症状と陰性症状(意欲が低下し感情の起伏がなくなり、周囲とコミュニケーションをとることが難しくなったりする)は薬により比較的抑えることができる。それらが社会生活を阻むものであった。しかし、陽性症状・陰性症状ともに薬で抑えられることで社会生活を運ぶことができるかというと、そうではなく、薬の効かない「認知機能障害」というものが社会生活を阻むことになる。それが統合失調症患者の現状だという。

 では、「認知機能障害」とは何か。本書では以下のように定義している。
「認知機能障害とは物事に対する判断や理解力などに支障が出ること。その結果としてコミュニケーション力が著しく低下することが統合失調症の大きな問題点です。患者さんの多くは、病気の発症以前に比べて、生活がしづらくなったと感じますが、それはこの認知機能障害が主な原因です」(pp.38-39)。

 本書はタイトル通り、当事者というよりも家族が理解していないといけないことや、発症後あるいは退院後の社会生活についても書いてあり、そういう意味では実践的入門書でもある。「恋愛も結婚もあきらめる必要はない」とのパラグラフもあり、そういう意味では家族が読んでも、当事者が読んでも勇気づけられるだろう。

 統合失調症が「軽症化」しているというのは、当事者としてはうれしくもある点だ。だが統合失調症の当事者として私も「認知機能障害」には実際に多くの場面で悩まされている。私はパートで働いてはいるが、「要領が悪かったり」、「作業スピードの遅かったり」、「記憶ができなかったり」、「会話ができなかったり」と仕事や社会生活で困っていることの本質が書かれており、納得のいく点、腑に落ちた点も多かった。

 陽性症状・陰性症状が緩和された後に残るのが「認知機能障害」という「人間と人間の関係」つまり社会の中で解決されねばならないということだ。単純なようで、とても難しい障害であるともいえる。そういう意味で欲を言えば、「認知機能障害」について対処する方法をもう少し掘り下げてくれると良かったと思う。








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mamu895

Author:mamu895
トーシツの持病(障害)を持っていることもあり、非正規で働くアラフォー男です。なかなか本は読めないし、書評も思うように進みませんが、本は好きなので読んで良かったと思う本・感動した本を紹介していけたらなと思います。今後読みたい本なども書いていけたらと思います。最近になり改めて公共図書館の魅力を感じています。

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