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『画家たちの二十歳の原点』

二十歳という季節を生きた画家たちの記録

本書は、平塚市美術館をはじめ、今年2011年春より巡回した「画家たちの二十歳の原点」という企画展の公式図録兼書籍である。

 この展覧会は、「『独りであること』、『未熟であること』、これが私の二十歳の原点である」、という言葉で始まる高野悦子の『二十歳の原点』(新潮文庫)を意識的に企画に入れている。二十歳のころ「日記」を書いた高野悦子は、1960年代の学園紛争を背景にして、常に自分を見つめ、社会と対峙し、真摯に生きた。しかし、自ら「死」を選んだ人物である。

 私は学生時代、高野悦子のこの「日記」に「真実の叫び」を聞いたように思い、自分も高野悦子のように真摯に生きたいものだと考えた。そんな懐かしい思いや、タイトル(画家たちの二十歳の原点)の本でもあったこともあり、好きな画家、興味ある画家の二十歳のころの作品と言葉が並べられており、思わず手にしてしまった本だ。

 本書は、明治・大正・昭和・平成と別々の時代を生きた日本の画家たち、54人の二十歳のころの作品に、その頃の言葉を同列に並べている。いささか荒っぽくもあるが、企画としては画期的であるように私には思える。評価はさまざまな画家たちが、二十歳ごろに悩みながらも真摯に生きたさまが、絵から言葉から伝わってくるはずである。まだ展覧会には行ってはいないが、本書を読むと、この企画の興味深さを感じる。

 図録兼書籍であるため、前半は54人の画家たちの作品と言葉を中心に構成されている。後半は作品と略歴などになっている。横尾忠則、大竹伸朗、会田誠、山口晃など、現代を代表する作家たちの書き下ろしのエッセイも収録されている。作家たちを一部紹介すると、黒田清輝、熊谷守一、岸田劉生、佐伯祐三、関根正二、松本竣介、草間彌生、池田万寿夫、さらには近年注目を集めている石田徹也などが同列に並べられている。

 このような企画でなければ、同列に並べられることのないだろう画家たちの作品が、「二十歳の原点」という共通項でくくられている。画家たちの二十歳のころの不安や悩み、孤独と焦燥感、真摯に生きたさまがないまぜになっている作品群と言葉たちに触れることができる一書である。








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mamu895

Author:mamu895
トーシツの持病(障害)を持っていることもあり、非正規で働くアラフォー男です。なかなか本は読めないし、書評も思うように進みませんが、本は好きなので読んで良かったと思う本・感動した本を紹介していけたらなと思います。今後読みたい本なども書いていけたらと思います。最近になり改めて公共図書館の魅力を感じています。

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