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中村うさぎ著 『こんな私が大嫌い!』

<自分>と距離を持つ生き方のススメ

 『みすず』3月号、読書アンケートで、『おひとりさまの老後』の社会学者・上野千鶴子が、中村うさぎのこの本を紹介していた。中村うさぎは読んだことはなかったが、理論社の「よりみちパン!セ」シリーズであり、上野氏ご推薦ということもあり、さっそく購入して読んでみた。

 中学生向けに書かれたものであり、ルビも振ってあり、大変読みやすい「よりみちパン!セ」シリーズだが、この本の中村うさぎも、難しいことをわかりやすく語っている。難しいことを難しく言うことは誰にでもできるが、難しいことを大変わかりやすい言葉で表現することはそうそう簡単にできるものではない。

 この本において、中村うさぎは「自分を嫌いにならない」ために「自分を好きになりすぎない」「自分に距離を置く」という到達点に立っている。自意識とどう向き合っていくか、ということを自らの経験に基づきながら筋道を通してわかりやすく説明している。

 中村は、「自分嫌いの人」というのは、本当はすごく「自分好き」なのではないかという仮説を立てている。自分を好きだからこそ、自分が傷つくのが怖い。こんなのは自分ではない。自分はもっとできるはずだ、という自分に対する過大評価である。

 中村は、長所・短所を取り上げて、それぞれはコインの表と裏であるということを言っている。あえて難しい言葉を使って表現してみると、自意識(アイデンティティ)のもつ両義性(アンビヴァレント)について語っている。このことを読者である中学生でもわかるように説明している。先に述べたとおり、難しいことを難しくいうことはたやすい。だが、わかりやすい平易な言葉で述べるということをやってのけている著者に脱帽するほかない。
 「私に言えるのは、ふたつだけ。『自己評価』というものが、いかに主観的で一人よがりで間違ってるかという事実を、ちゃんと自分でわかっておきましょう、ということ。そして、そんなものに振り回されて自分が大嫌いなんて思っている自分を外から眺めて、『まーた、そんな大げさに悲観して。アホやなぁ』って笑ってあげる訓練をしてみよう、ということ」(p.73)。それだけで、僕らはずいぶん楽になる、と。

 中村がこうした思考にたどりつく道のりはそう簡単なものではなかった。そんなことを中村自身の歴史をたどりつつ、またゲイ(「オカマ」)の友人の話を交えたりしながら説明している。

 語りかける読者は中学生だが、大人が読んでも目からうろこの一冊だ。私も<自分>との付き合い方を考えさせられる大切な一冊となった。

(2010/02/19 BK1へ)







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mamu895

Author:mamu895
トーシツの持病(障害)を持っていることもあり、非正規で働くアラフォー男です。なかなか本は読めないし、書評も思うように進みませんが、本は好きなので読んで良かったと思う本・感動した本を紹介していけたらなと思います。今後読みたい本なども書いていけたらと思います。最近になり改めて公共図書館の魅力を感じています。

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