スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

西原理恵子 『この世でいちばん大事な「カネ」の話』

 この本は、漫画家・西原理恵子の「カネ」をめぐる自伝的性格の強いエッセイである。

 西原が人生を語ろうとするとき、「カネ」を中心に考えざるを得ない。世の中(社会)が、「きれいごと」では済まされないこと、またハウツーもののお金の話とは全然違う、「カネ」で得た「知恵」を子どもたちに語るようにおしゃべり口調で語っている点が読みやすくすぐれている。またそこが本に説得力を与えている。子ども向けに書かれた本ではあるが、大人が読んでも非常におもしろく、ためになり、またサイバラファンが読んでも西原の自伝的要素が強いので、楽しめる一冊だ。

 自分の子ども時代のことから、自分が美大の予備校時代から出版社に営業に回ったこと。エロ本のカットを書くところから始まり、漫画家として自立していく過程。また今は亡き夫の鴨志田穣と回ったアジアの地域の子どもの「カネ」と「働く」という関係と生活状況。またバングラデッシュのグラミン銀行のことにいたるまで、語られている。

 自分のことを語りながらも、世界にも目を向けており、日本社会のことだけを語っていない点がすぐれている。日本社会を相対化して見ている点が考えさせられるところだ。日本における若者の「働く」ということに関してだけでなく、世界はどうなのか、という視点からも語られているため、日本はまだまだ恵まれた環境にあるのだ、ということを再確認させられる。

 「カネ」を中心に、「働く」ことや「自分探し」ということを突破できるのではないかと西原は考える。今、「何のために働くのか」「自分は何がしたいのか」「働くとはどういうことなのか」ということに悩んでいる人に本書を読んでもらいたい。「カネ」を中心に考えることによって、「働く」ことへのヒントや智慧がたくさん詰まっている。

 あとがきで西原はこう言っている。 
 「働くことが希望になる――、人は、みな、そうあってほしい。これはわたしの切なるねがいでもある。/覚えておいて。どんなときでも、働くこと、働き続けることが『希望』になる、っていうことを」(p.235)。

(ページは、理論社から出た「よりみちパンせ」シリーズのものです。)







にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

mamu895

Author:mamu895
トーシツの持病(障害)を持っていることもあり、非正規で働くアラフォー男です。なかなか本は読めないし、書評も思うように進みませんが、本は好きなので読んで良かったと思う本・感動した本を紹介していけたらなと思います。今後読みたい本なども書いていけたらと思います。最近になり改めて公共図書館の魅力を感じています。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。